相続と人生観の小話
相続の仕事に携わっていると、「世代の交代」ということについて考えさせられることが多いです。
相続によって引き継がれるのは法律上、基本的には財産だけです。
しかし、一人一人の人生には一人一人の「色」というものがあって、直接目に見えるものではないけど、親世代が経験上培ってきた「言葉では表せない何か」をひっくるめて子世代に引き継いでいくような感覚を強く覚えます。
ま、必ずしも相続人が子世代になるわけでもないですが、それでも人の死はその家にとって大きなターニングポイントになります。
自分の死を意識したことのある人というのは、そう多くはないかもしれません。
もし自分が死んだら、何が残るでしょう?
よほどの人でない限りは、忘れられていくことになります。
寂しくもあり、だからこそかけがえのないものなのかもしれない。
一人の人生というのは、長い人類の歴史の中ではほんの一瞬の瞬きに過ぎません。キラッと光る流れ星のような、瞬間的に鳴り響くファンファーレのような。
我々は「生まれ、響き合い、消えていく」一つの交響曲を奏でているようなものです。一人一人時間差で音を紡いでいくのです。
その音楽のフレーズとフレーズの繋がりをスムーズにするのが「相続」なのかな、と。
…ちょっと強引な着地でしたかね?(笑)
とにもかくにも、相続という業務の魅力は世代と世代のバトンタッチを円滑にする役割を担わせていただくということや、人生の大先輩から経験「知」を学ぶ機会をいただけるということです。
弱冠37歳の自分にはまだまだ達観することのできない話ではありますが、儚いからこそ愛おしい一瞬の人生を悔いなく歩んでいきたいと思います。